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自然由来のヒ素等の有害物質による土壌汚染が土地に存在する場合、売主に除去費用を請求できますか。

法令の規制基準値を超えるヒ素等の有害物質による土壌汚染が土地に存在する場合には、それが自然由来によるものであっても、原則として土地の瑕疵にあたりますので、瑕疵担保責任等に基づいて売主に除去費用等の賠償を求めることができる場合があります。

解説

土地の売買契約締結後に、地中に、土壌汚染や地中埋設物が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、民法上の瑕疵担保責任に基づいて土壌汚染浄化費用や地中埋設物除去費用等について損害賠償請求をすることができる可能性があります。

瑕疵担保責任に基づいて損害賠償請求をするためには、地中に存在する土壌汚染や地中埋設物が瑕疵にあたるといえなければなりません。

それでは、自然由来のヒ素等の有害物質による土壌汚染が存在することは土地の瑕疵になるのでしょうか。

瑕疵とは、売買の目的物が、その種類のものとして取引通念上通常有すべき品質を欠いていることをいいます。

まず、法令の規制基準値があるような有害物質については、同基準値を超える含有量が検出された場合には、その程度の如何を問わず土地の瑕疵に該当するものとされております(東京地判平成18年9月5日判タ1248号230頁等)。

旧土壌汚染対策法においては、自然由来の有害物質が含まれる汚染された土壌を土壌汚染に含めていませんでした。その後、健康被害の防止の観点からは自然由来の有害物質が含まれる汚染された土壌をそれ以外の汚染された土壌と区別する理由がないとして土壌汚染対策法が改正され(平成22年4月施行)、自然由来の有害物質による土壌汚染も土壌汚染対策法の適用対象となりました。

したがいまいて、自然由来の有害物質であっても、土壌汚染対策法施行規則所定の基準値を超過すれば、土地の瑕疵にあたる可能性が高いでしょう。

裁判例においても基準値を超える自然由来によるヒ素が瑕疵に当たると判断されております(東京地判平成21年6月10日ウエストロー・ジャパン)。

もっとも、環境基本法2条3項に規定されている「土壌の汚染」は「事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる」に限定されており、自然由来による土壌汚染は適用対象となっていません。このような観点から、売買契約の解釈問題として、自然由来によるヒ素は瑕疵に含まないと判断した裁判例もあります(東京地判平成23年7月11日判タ1385号173頁)ので、契約書の内容については注意が必要です。

なお、買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになりますのでご注意ください。

  • ① 土地の引渡しから10年(ただし商行為の場合は5年)で時効にかかります。
  • ② 商人間の売買では、買主は、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し、売主に通知する必要があります。
  • ③ 土壌汚染や地中埋設物の発見から1年以内に損害賠償請求をする必要があります。

仮に、期間制限を経過してしまった等の理由で売主の瑕疵担保責任を追及できない場合には、買主としては、売主の説明義務違反や浄化義務違反・除去義務違反を主張して除去費用の賠償を求めることができる場合があります。

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