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地中における基礎杭約1080本の存在について、買主の悪意・有過失を認め売主の瑕疵担保責任を否定した事例

買主が売主に対して瑕疵担保責任に基づき損害賠償請求をするには、瑕疵が「隠れた瑕疵」でなければなりません。「隠れた瑕疵」にあたるには、以下の二つをみたす必要があります。

  • ① 瑕疵が表見しておらず、一般人の見地から容易に発見できないこと(大判昭和5年4月16日民集9巻376頁)
  • ② 買主が当該瑕疵につき善意・無過失である、すなわち、買主が当該瑕疵を知らず、かつ、知り得ないこと(大判大正13年6月23日民集3巻339頁)

以下の事案では、買主であるAが土地に基礎杭約180本が地表30cmの所まで放置されていることについて悪意・有過失、つまり、その存在を知り又は知り得た旨の認定がなされ、売主であるBの瑕疵担保責任の存在が否定されました。

裁判例 東京地判平成22年 8月30日ウエストロー・ジャパン
事案の概要 Aは、Bから7億6000万円で購入した土地に基礎杭約180本が地表30cmの所まで放置されている、②地盤が軟弱である、③Bは、解体後の鉄筋やコンクリートガラ等の産業廃棄物の大半を埋め戻している、と主張して、Bに対し、瑕疵担保責任に基づき、不動産仲介業者Cに対しては重要事項の説明義務違反に基づき、それぞれ損害賠償を求めた。
判決の概要 解体後の鉄筋やコンクリートガラ等の産業廃棄物についてはBは隠れた瑕疵に該当することを争わなかったため、Bに179万9700円の賠償義務が認められた。もっとも、Aには、入札当日、全体杭置図及び基礎杭が残置されていること等が記載された重要事項説明書が交付されていたこと等から、Aは、基礎杭の存在について悪意・有過失であるため隠れた瑕疵とはいえず、また、地盤が軟弱であるとの主張についても瑕疵に該当しないと判断し、いずれについてもBの賠償義務を否定した。
また、Cについては、①基礎杭の存在及び②地盤が軟弱であることについては、そもそも上記のとおり隠れた瑕疵には当たらず、また、③Bが解体後の鉄筋やコンクリートガラ等の産業廃棄物の大半を埋め戻したことをCが認識していたとは認められないこと等から、説明義務違反は認められないと判断した。
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