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地中における焼酎甕、壊されたレンガ、コンクリート片等の存在について説明義務違反を認め1668万円の賠償義務を認めた事例

以下の事例のように、土地の売主が、自ら産業廃棄物などの地中埋設物を埋設し、あるいは土壌を汚染しながら、売買契約を締結するにあたって、その点を、買主に対して何ら告知・説明しなかった場合、当該土地売主は、説明義務を怠ったものとして、土地の売買契約締結後に存在が判明した地中埋設物や土壌汚染の除去費用等について、同土地の買主のみならず、当該買主から同土地の取得した第三者に対しても、賠償義務を負う可能性があります。

このように、瑕疵担保責任は、土地売主の土地買主に対する責任ですが、説明義務違反については、契約関係にない者の間の義務に違反したものとして不法行為とする構成によることができますので、直接の契約当事者でなくとも主張できる場合があるのです。

売主が企業である場合、売買契約締結交渉担当者が地中埋設物又は土壌汚染の存在を隠蔽するつもりがなくとも、従業員間の引き継ぎ等のコミュニケーション不足等の理由により、意図せず説明義務違反に陥ってしまうことが往々にしてあります。以下の事例においては、売主社内の記録、資料等の調査によって関係書類が発見されない場合でも、退職した売主の元社員や関連した業者、周辺の住民等から事情を聴取すれば、地中埋設物の存在を認識し、売却の際にこれを買主側に告知するか、事前に本件廃棄物を自ら撤去、処理できたはずであったと認定され、売主の説明義務違反が認められました。

このように、土地の売買契約締結の際には、自社が同土地に関して認識している情報を十分に洗い出しておく作業が必須となります。

説明義務違反による損害賠償を不法行為と構成するときは、買主が損害を知った時を起算点として、3年経過すると時効消滅します。他方、瑕疵担保責任と異なり、説明義務違反に基づき損害賠償請求をする場合には、買主には、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し売主に通知する義務(買主の検査通知義務)は課せられませんし、土壌汚染や地中埋設物の発見から1年間の期間制限もありません。

裁判例 東京地判平成20年 6月23日ウエストロー・ジャパン
事案の概要 BがCに売却した土地をCから購入したAが、当該土地にBによって埋設された産業廃棄物(地中埋設物)が存在したためその撤去費用の負担を余儀なくされたと主張して、Bに対して、不法行為(説明義務違反)に基づき、撤去費用相当額の損害賠償を求めた。
判決の概要 Bは、自らが過去に行った工場撤去に伴う地中埋設物の埋設により、本件土地の取得者が工場敷地等として土地を利用するのに支障が生じ得る状況を作出しているのであるにもかかわらず、Bが、会社組織として、工場撤去の際の状況や本件土地の性状について正確な認識を欠くに至ってしまい、被告社内の記録、資料等を調査したものの、社内に関係書類が発見されないのであれば、退職したBの元社員や関連した業者、周辺の住民等から事情を聴取すれば、地中埋設物の存在を認識し、売却の際にこれを買主側に告知するか、事前に本件廃棄物を自ら撤去、処理できたはずであるにもかかわらず、特段の調査を怠り、地中埋設物の存在についての告知義務を怠ったまま漫然と本件不告知売却をしたという故意と同視できる重大な過失があるとしてBに告知義務違反の過失を認めた。
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