土壌汚染に強い弁護士トップ > 過去の裁判例 > 売主の瑕疵担保責任を認めた裁判例 > 買主の検査通知義務の排除特約の成立を認め1815万4500円の賠償義務を認めた事例
以下の事例のように、土地の売買契約締結後に、地中に基準値を超過するフッ素などの土壌汚染やがれき類などの地中埋設物が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、多額の損害賠償請求をすることができる可能性があります。
なお、商人間の土地売買においては、買主は、本来、遅くとも土地引渡し後6か月以内に土壌汚染や地中埋設物を発見する必要(検査通知義務)がありますが、以下の事例のように、売主の瑕疵担保責任を「土地の引渡日から1年間に限る」などとする特約が締結されていた場合には、この検査通知義務は適用されない可能性があります。つまり、このような場合には、土地引渡し後6ヶ月経過後に土壌汚染や地中埋設物が発見された場合でも、買主は売主に損害賠償請求できる可能性があるのです。
裁判例 | 東京地判平成21年4月14日ウエストロー・ジャパン |
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事案の概要 | Aは、分譲マンションを建設する目的で、Bより土地を2億2120万円で購入した。その後、Aは専門業者に依頼して上記の土地の調査を行なったところ、基準値を超過するフッ素が検出され、さらに、がれき類等の地中障害が存在することが判明した。そこで、Aは、土地引渡日から1年間経過する直前において、Bに対し、基準値を超過したフッ素を検出した旨を通知し、また、汚染土壌処理工事費用等の見積書を送付した上瑕疵担保責任の履行を請求した。なお、売買契約書には、上記の土地に隠れた瑕疵(土壌汚染並びに産業廃棄物等の地中障害を含む。)があり、買主であるAが瑕疵を発見したときは、上記の土地の引渡日から1年間に限り、売主であるBは、民法570条に定める瑕疵担保責任を負うと定められている。 |
判決の概要 | 上記の規定は商法526条の検査通知義務を合意によって排除するものであるとし、Bに土壌汚染の状況に関する調査費用及び汚染土壌処理工事費用合計1815万4500円の賠償義務を認めた。もっとも、商人が買主として土地を購入した場合、一般的に土壌汚染の有無を検査することが求められているということができ、それに要する費用は買主が負担すべきであるとして、調査費用のうち、土壌汚染の有無に関する調査費用については、Bに賠償義務は認められなかった。さらに、地中障害と土壌汚染とは別個の瑕疵であり、地中障害については、Aは、土地引渡日から1年以内に瑕疵担保責任の履行を求めたとはいえないとして、地中障害撤去工事費用については、Bに賠償義務は認めなかった。 |